2016年4月24日日曜日

気候変動対策強化に関する提言書を掲載

2016年G7サミット市民社会プラットフォームの参加団体が加盟する「CAN-Japan(気候行動ネットワークジャパン)」は、G7首脳への気候変動に関する声明を発表しました。

CAN-Japanにはピースボート、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、FoE Japan、オックスファム・ジャパン、WWFジャパンほか14団体が参加しています。

声明は以下のサイトからご覧いただけます。

G7首脳は気候変動対策を強化し、化石燃料からの脱却を約束すべき
http://www.can-japan.org/advocacy/2214

ダウンロードはこちら。
http://www.can-japan.org/wp-content/uploads/2016/04/CANJapanstatementtoG7Leaders_2016_f_jaen.pdf

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G7首脳は気候変動対策を強化し、化石燃料からの脱却を約束すべき
2016年4月19日


昨年、世界の年平均気温は観測史上最高を記録し、少なくとも工業化前から1℃上昇した。気候変動は加速しており、その影響はすでに数十億人に及んでいる。パリ協定は単なる交渉の終わりではなく、新たな行動の始まりでなければならない。G7は気候変動とその影響に立ち向かうべく率先して行動し、緊急に対策を強化しなければならない。

昨年2015年にドイツのエルマウで開催されたG7サミットにおいて、G7首脳は次のことに合意した。

今世紀中に世界経済を脱炭素化する
2050年までに温室効果ガス排出量を2010年比で40-70%削減する
2050年までにエネルギー部門の変革に向けて努力する
これらの合意は、G7各国がすでに、化石燃料から脱却し、自国の経済を完全な脱炭素化へと転換させる約束をしたことを示している。それに加え、世界全ての国が満場一致で合意したパリ協定は、世界全体の平均気温上昇を1.5℃未満、そして2℃を十分下回る水準に抑制すること、そして温室効果ガス排出ゼロに向け、協力して排出削減対策を行うことをめざすものである。

G7各国首脳は、再生可能エネルギーへの世界的な転換を先導するために合意されたこれらの誓約に基づき、野心的な目標に合意し、対策を実施していくべきである。

各国首脳は、2016 年のG7伊勢志摩サミットの最重要議題の一つとして気候・エネルギーを議論すべきであり、パリ協定を率先して実施することを約束すべきである。


したがって、G7各国は、以下のことをすべきである。


可能な限り早く、あるいは遅くとも2020年までに、長期的な温室効果ガス低排出開発戦略を作成し、提出する

長期的なビジョンを運用可能にするべく、G7諸国は、野心的な政策パッケージによって長期的に温室効果ガスの低排出を達成することができる道筋を提出し、実施しなければならない。


できる限り早期にパリ協定を批准し、2020年までの早期発効を確保する

G7各国首脳は、パリ協定の早期発効を確保するため、早期批准の重要性について発信すべきである。


気候行動の実施を強化し、正式提出の前に約束草案(INDC)を更新する

COP21決定では、現状の各国の約束草案(INDC)を総計した効果が、2℃未満の道筋からは著しく不足したものであることを明確に認識している。2018年にUNFCCCのもとで開催される最初の促進的対話をうけて、G7諸国は2019年から2020年にINDCを更新するべきである。加えて、G7諸国はUNFCCCの技術専門家会合において有効だとされた政策措置を、実際の行動へと具現化し、2020年まで支援するべきである。


2050年までにエネルギー部門を脱炭素化する

パリ協定の長期目標を実現するべく、G7諸国は1.5~2℃目標の達成に向けて率先して行動すべきである。この長期目標は、現在埋蔵が確認されている化石燃料のうち80%以上を地中に留めたままにすること、2050年までにエネルギー部門の完全な脱炭素化を達成することを意味する。


化石燃料(特に石炭)及び原子力からの脱却を加速する

化石燃料の中でも、石炭は最もCO2排出量が大きく汚いエネルギー源である。G7諸国は、脱石炭の動きを加速すべきである。G7諸国は、新規の石炭火力発電をやめ、既存のものについても閉鎖を加速すべきである。G7諸国はまた、石炭技術の海外輸出についていかなる公的支援も融資も行わないというOECD合意を適用すべきである。2011年の福島での大災害は決して終わっておらず、またこの災害が示すその他の危険なリスクを鑑みると、G7諸国は気候変動を解決する手段としての原子力利用をやめるべきである。


再生可能エネルギーを100%へと増加させ、エネルギー効率を向上させる

化石燃料に対していまだに非効率な補助金が供与され続けているにもかかわらず、再生可能エネルギーはますます競争力ある選択肢になってきている。G7諸国は、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換を加速させる必要がある。このような変革に際し、エネルギー効率化は重要である。質の高いインフラ投資としての技術革新、投資、補助金は、再生可能エネルギーやエネルギー効率化に振り向けられるべきであり、化石燃料や原子力関連技術に対して向けられるべきではない。


2020年まで及びそれ以降も、資金支援を引き上げる

気候資金は、途上国が気候変動の緩和行動及び適応行動を実現させるにあたって不可欠な要素である。パリ会議において途上国が誓約した低炭素開発計画及び行動のために、化石燃料の採掘や燃焼によって豊かになってきたG7諸国などの富裕国は、技術及び公的資金支援を大幅に増加させる必要がある。G7諸国は、2020年まで及びそれ以降も気候資金を公平な割合で拠出しなければならず、特に、緑の気候基金(Green Climate Fund: GCF)に対してはさらに資金を拠出しなければならない。


CANについて:

Climate Action Network(CAN:気候行動ネットワーク)は、110カ国以上の950を超えるNGOからなる、世界規模のネットワークである。人為的な気候変動を環境が持続可能であるレベルにとどめるため、政府・個人の行動を促進する活動をしている。Climate Action Network Japan(CAN-Japan:気候行動ネットワークジャパン)はCANの日本拠点で、日本のNGO14団体から構成される。 http://www.can-japan.org/

問合せ 電話 075-254-1011 Eメール: secretariat@can-japan.org (CAN-Japan Secretariat)

本声明は英語版もあります