2016年4月11日月曜日

「被爆地広島からG7外相へ 核のない世界のための行動を求める市民の声明」を掲載

2016年4月10日午後、2016年G7サミット市民社会プラットフォームの呼びかけ団体であるピースボートを含む「核兵器廃絶日本NGO連絡会」と核兵器廃絶をめざすヒロシマの会は、広島市内で市民シンポジウムを開催し、その場で以下の声明を発表しました。この声明は、G7各国政府に対して発表と同時に送付されました。

以下に全文を掲載します。PDF版はこちら

From Hiroshima to G7 Foreign Ministers - CITIZENS’ STATEMENT TO APPEAL FOR ACTIONS TOWARDS A NUCLEAR-FREE WORLD

English version is here

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被爆地広島からG7外相へ
核のない世界のための行動を求める市民の声明

地球上には今なお1万5000発以上の核弾頭が人類の生存を脅かしており、核のない世界への展望は開けていません。むしろ核拡散の波は広がり、貧困、不平等、環境破壊と暴力の連鎖が世界中でさまざまな人道上の危機をもたらしています。

ここ被爆地広島で開催するG7会合は、70年前の核兵器の使用によってもたらされた未曾有の非人間的体験からヒロシマ・ナガサキが得た教訓「核と人類は共存できない」を踏まえたものでなくてはなりません。

私たち市民は、G7外相に以下のことを求めます。

1.核兵器の非人道性についての認識をはっきりと示し、核に依存した安全保障政策から決別してください

●被爆者の声に耳を傾け、いかなる核兵器の使用も壊滅的で非人道的な結末をもたらすという認識、そしてそのような破滅を決してくり返してはならないという強い決意を明確に打ち出してください。

●核兵器は人道的見地からも法的・政治的見地からも、使うことの許されない兵器です。すべての核保有国と「核の傘」の下にある国々は、核兵器に依存した安全保障から脱却し、核によらない安全保障の構築に向けて行動を開始してください。

2.核兵器の禁止と廃絶に向けて、明確な一歩を踏み出してください

●核兵器の使用・威嚇は国際人道法に一般的に違反しており全面的な核軍備撤廃のための交渉を行い完結する義務があるとした国際司法裁判所(ICJ)の勧告的意見を再確認してください。

●核兵器のない世界のための法的措置に関する国連作業部会(OEWG)に参加し、核兵器禁止条約の交渉開始に向けた議論に積極的に参加してください。

3.北東アジアに非核・平和の秩序をもたらす努力を強めてください

●北朝鮮が核実験を含む核開発を続けていることに対して、制裁手段に頼るのでなく、非核兵器地帯の設置を含め、北東アジア地域に非核・平和の秩序をもたらすような外交努力を進めてください。

●北東アジアの領土問題や海洋の安全保障問題に対しては、軍事的挑発を避け、紛争の平和的解決の原則に則った冷静な対処が必要であることを確認してください。

4.核拡散や核テロにつながる核物質を管理すると共に、これらを防止する政策を強化してください

●核拡散や核テロの防止を強化するためにも、プルトニウムと高濃縮ウランの最小化と管理強化が世界的に必要であり、G7各国は率先して行動すべきであることを確認してください。

●とりわけ日本が約48トンという大量のプルトニウムを利用目的の説明のつかないまま保有していることは深刻な問題であることを認め、青森県六ヶ所村の再処理工場の運転凍結を促してください。

●インドなど核不拡散条約(NPT)非締約国に核保有国としての例外的地位を認めるような形での原子力協力・協定は許されません。私たちはとりわけ日印原子力協定の締結に反対しており、昨年12月に日印政府が原則合意したとされる協定の内容に関する完全な情報公開を求めます。

5.軍事費を減らし、テロ問題の根源に対処する平和外交を進めてください

●私たちは、昨年一年間で1兆7千億ドルが軍事費に使われ、その一方で貧困、雇用、社会保障、持続可能な開発、人権、難民、災害対策、環境問題への対処が世界中で立ち後れている現状を深く憂慮しています。世界の軍事支出の約半分を占めるG7諸国は、軍事費を人々のニーズに振り向けることを主導する責任があります。

●世界で深刻化するテロリズムの問題については、武力による対処ではなく、そうした問題が発生する根源となる社会的、経済的、政治的要因に対処することが重要です。G7諸国はそのような認識を持ち、持続可能な開発目標(SDGs)の促進に向けて努力してください。

2016年4月10日

広島にて

核兵器廃絶日本NGO・市民連絡会
核兵器廃絶をめざすヒロシマの会

連絡先 090-9064-4705(森瀧)
090-8310-5370(川崎)
nuclear.abolition.japan@gmail.com

市民シンポジウムの様子